本場の前はこんな潮・・・サラシとぶつかった本流が沸きあがりの潮を作る。この湧き上がりの外側はまさに激流で100mくらいなら2分も持たずに道糸が引き出される。その道糸の弾け方は魚が当たったに均しく、今回は口太メジナが本流で食ってしまうので当たりを取るのが難しかった。足元のワンドの中ではイシガキダイが爆釣。そこに例の強烈な餌取りが混ざる迫力満点の釣り。

「表本場ではいきなりシミちゃんがヒット!」
こんなカラフルな魚も釣れちゃったりする!
たちの裏本場で1投目からヒットしたのとほぼ同時に表本場から歓声があがる「おぱちゃ〜〜ん!!!!」シミちゃんの呼ぶ声が聞こえて振り返ると今回はフカセの道具を一切持ってこなかったシミちゃんのジグ用の剛竿が根本からひん曲がっている。仰け反って耐えるシミちゃんの姿勢と竿の曲がり具合から遠目でもかけた魚の大きさが分かるやり取りをする余地も無くステラの20.000番のリールはドラグを鳴らしながら逆回転し18号の道糸は引きずり出されていく。結局その魚は止まる気配はまったく無く数百メートル道糸を引きずりだしラインを引きちぎっていった。

遠巻きにその様子を見ていた私達は「やっぱここはイナンバだ・・普通じゃない!」と改めて気を引き締める。その後、皆が本命のメジナを仕留めるがサイズが上がらない(それでも黙って40a級)しかも上がるのは全て口太メジナ。最悪なのは本流の中で数百メートル流した場所でも口太が食う始末。尾長メジナの気配はまったく無いまま、数時間が消化される。そのうちに足元にはイスズミが溢れ出し頻繁に竿をひん曲げるようになる、ここからが大変!中には3キロ位ありそうなでかいのもかかって、イスズミの猛攻の中から口太メジナを拾っていくような釣りとなる。それにしてもここの口太は良く引く。当たり方そのものと足元の最後の抵抗が若干尾長に比べると異なるがかけた直後のパワーは尾長メジナに匹敵する力を持っていた。

磯際には時折「おい!!!」と声が出るようなサイズの魚が見えていた、目測で50aはありそうな魚である。白い厄介なヤツの下に茶色い魚も見える。。「なんじゃこの魚は?」そう思いながらイスズミの下で食わせるともう一種類の餌取りが姿をあらわした・・イシガキダイである。イシガキダイを餌取りと言ったら底物師にはまじめに怒られるだろうがここでのイシガキの食い方はまさに餌取りそのもの。フカセのオキアミになんの躊躇も無く30センチクラスのイシガキが食ってきちゃう。なんて恐ろしき風景。足元を攻めているメンバーは強い引きに大喜び、イシガキダイをアジ釣りのように入れ食いさせていた。


え間なく曲がる竿・・1時半の納竿までの間、それぞれの竿は休むことなく曲がっていた。個人的に悔やまれるのは磯上がり直前に本流の中で食わせた魚。メジナが食っていた100b位先の潮緩みで食ったその魚は、次元の違う引きがいきなり竿をひん曲げた。逆回転が止まらないリールのドラグは悲鳴を上げて竿は折れちゃうくらいに曲がり弾性を完全に失う強烈な引き。ところが私のヒットする直前に管理人さんに大きなイスズミがヒットして私の前でやり取りをしていた為、魚をいなすことが出来ず先手をとられて根に張り付かれてしまった。重量感といい引きの強さとさすがイナンバと言える申し分のないサイズの魚だったと思うだけに悔やまれる。管理人さんには申し訳ないが根に張り付かれた言い訳にさせていただいた・・・汗)

潮が引いてから船長に磯代わりを進められて勇気を出して四畳半に移った底物の二人は大正解。足元で50aを超える立派な口白を上げていた。2回目の底物釣りでの釣果と言うならば奇跡的な釣果だと思える。こうして現実とは思えない無垢な魚とのやり取りはあっという間に時間を消耗し、磯上がりの時間となってしまった。後ろ髪を惹かれる思いで・・イナンバに別れを告げ
小さくなるその雄姿をいつまでも眺めながら賀寿丸の後方デッキで興奮冷め遣らぬ会話で盛り上がった。



シガキダイの入れ食い・・ダブルヒット・トリプルヒットなんていう 非現実的な世界を経験した裏本場の面々、激流に翻弄され、巨大魚に伸された表本場の面々、そして賀寿丸を貸しきってジギングにチャレンジした数名。夢のような舞台で夢のような釣りを楽しんだ余韻に浸り下田を目指しながら快適な船で心地よい眠りについた。思いっきり欲を言うならば「尾長メジナ」が出なかったこと、数はでたがサイズ的にごく普通だったことが心残りであり不服だが、乗れたことだけでもラッキー(しかもファーストチャレンジで乗れた)であり、4畳半や表本場などという素晴らしいポイントで竿を振れたことで大いに喜びたいと思う。

最後の秘境と呼ばれるイナンバだが近年は「船釣りの乱獲」で大きなメジナも少なくなっていると聞く。沖合いでコマセを入れて釣れるだけ釣ってしまうのでこの秘境もこのままではただの岩になってしまうであろう・・・。そういう話を聞くと心から悲しい気分になった。より大きな魚、よりたくさんの魚にめぐり合いたいと思う釣り人の最後の「とっておき」の場所としていつまでもこの環境が残っていることを心から願いたい。

今回は、グレネットの管理人さんとそのお友達さんにも同行して頂き楽しいコミュニケーションが取れて嬉しく思いました。また、タモ入れや荷渡しなどでも積極的にご協力を頂き大変感謝しております。

また、磯経験の不足しているメンバーがいたにもかかわらず多大な配慮を頂き、細心の注意と助言で今回のイナンバを実現させてくれた賀寿丸の浜川船長にも厚く御礼を申し上げます。

今回、同行できなかったメンバーのためにも、また近いうちに藺難波遠征を企画したいと思います。底物師は夢の巨魚「本ワサ10`オーバー」をメジナマンはパワーとスピードにあふれる「60aオーバーの尾長メジナ」を目指してください。藺難波ではその夢も実現できる可能性が非常に高いと思います。大きな川の上流のような潮の流れは釣り人のチャレンジ精神を触発し漆黒の海は巨大魚の存在をイメージさせてくれた。秘境と呼ばれる場所が未だに存在し、そこへ赴き竿を出せる喜び・・釣り人にしか分からないロマンを体全体で感じられた釣行を実現できた事を喜びに思う釣行だった。また行こう!イナンバへ!夢の叶う憧れの弧礁へ!!