御神根に最初に訪れた時のことを思い出す・・・西ノ島に乗った私は、コマセを足元に入れながら、仕掛けを打ち直していた。もちろん、ショウサイフグの手厚い洗礼をうけ気分はめげ気味。

何気なく足元を見ると・・・足元の底の方に紛れもない大型の魚の魚影がはっきりと見える。まさか??そう思う心と裏腹に迷いもせず仕掛けをそこに入れた。

ブンっ!!

そんな音がしたようなしないような・・・まさに出会い頭、竿は一瞬でひしゃげ、なんとか竿に魚を乗せるものの何もできず、私の未熟な腕をあざ笑いながらその魚は消えうせた。

・・・さて?今日の御神根には???

そう思い、ウニマサのポイントをシゲシゲと覗き込む・・・・いるっ!!確かに見える!数年前と変わらずここには、釣り人の腕をあざ笑うことを生涯の楽しみとするような魚がいる。

見える魚は釣れない・・・このセオリーを私は信じない、神津島、伊豆、そしてここ御神根でも見える魚を何度もかけてきた。

見える魚は強い・・・これは信じる、そう見える魚をかけたのと同様、バラした数も多い。

見える魚にそっと仕掛けを入れ込む・・・

水道の複雑な強い流れに仕掛けが馴染まない、タイミングを計り流れを読み・・・再度挑戦。

上手く仕掛けが馴染む・・

そのまま・・・あいつのところまで届け!
食え!!さぁ〜食ってみろ!!

ブンッ!!!

やっぱりそういう音がする気がした。
そいつは私の挑戦をあざ笑うように堂々と受け止めた。

水道を魔物のように滑走する、沖に出たと思った刹那
東ノ島のシモリへ回り込む。
御神根から離れた3年間は、私に確実なキャリアーと経験を授けた・・・あの頃、何もできずに目の前から消え去った魚は、今日は私の手の内にある・・・・。

強烈で縦横無尽・・・メジナの上品な引き味ではない、悪く言えば下品で強烈無比な無骨な引き味、あいつだ。

房総の様々な磯、伊豆半島の荒磯、神津島のスケールの大きな磯は、ここ御神根で離島サイズのサンノジを楽しめる余裕を生む経験と熟練を私にくれた。
御神根といい白浜といい・・・私が釣りを覚えたこの偉大なる磯。ここで磯釣りを覚えた磯人を受験生にたとえるなら

この磯は、いわば参考書であり模擬テストである・・・より大きな魚を求め、よりたくさんの魚を釣りたいと願うことから

ここを離れて遠くへ足を運ぶ釣り人は多いが、ここはその離れた数年が正しかったのか無駄ではなかったのかを図ることのできる場所なのである。
その後、遠目の根の間の底の方に見え隠れする魚を見た気がして仕掛けを微調整し振り込むと・・・久々に小気味良い首振りがさお先を叩いた・・・・。

じつは大型のアイゴだと思いカナリ粗末な扱いであげてしまったが、水面を割ったのは紛れもない銀鱗、黒鯛であった。思わぬ獲物に釣った本人が一番びっくり・・・メジナ釣りをするようになってからはずいぶんご無沙汰であった獲物である。

これに味を覚えた釣りバカ・・・さらに深いところを探り始める・・・そして上がってきたのがこの重量級の獲物ブダイ。

これにて磯五目釣りの完成とあいなった。

と・・・・ここまでは・・ヒーローインタビューとお立ち台は俺のものだと思っていたおぱだが、

この淡い目論見は簡単に打ち消された、裏側にうつったQUEちゃん。コマセと仕掛けの同調を覚えてスキルアップ。フグに悩まされながら同調を繰り返す釣りをしていた。

フグの活性が低くなったとは言え、コマセの打ち方次第ではあっという間にあたりはショウサイフグの養殖場と化す危険性のある御神根、

おせっかい心が身をもたげ、迷惑承知でQUEちゃんにレッスン、しかし彼女は筋が良い。

いわば素直に調教師の指示に従う性格の良いサラブレッドだ・・・・たちまち教えたことの意味を理解し、自分のモノにしていく。

その刹那。

きったぁ〜〜!!

大きな声とともに竿がひしゃげた。
上品な引き味、竿は叩いていない・・・もしや???そう思いながら遠めで眺めていると、タモ入れに駆けつけたてっちゃんからも雄たけび!おぉ!!メジナ!メジナ!良い型だよ!!!QUEちゃん!

こうして彼女は、自己記録を軽く塗り替えるクチブトメジナ37aを手に入れた。
涙でそう〜〜〜!

そう叫ぶ彼女の全身で表現するその喜びは、遠い日の自分のことを思い出し、自分のことのようにうれしい気分になった。

そう!これが釣りをするものであれば、誰にでも味わえる身近な喜び、そして至高の喜びなのである。

そしてまた一人、次のステップを目指す釣り人が増えた瞬間でもある。