今からさかのぼること十数年、ダイワ精工が圧倒的パフォーマンスを誇る竿を世に送り出した、そのパフォーマンスは、開発者から言わせると今後十年このままの性能で十分であると言わしめるほど高い完成度だったという。そんな最上級の完成度を持って生み出された竿こそが「初代VIP」である。その開発者の言うようにその後その竿は10年間の眠りにつきVIPという冠名の竿は目くるめく竿の進化の過程の中でさえ使われることはなかった。しかし、2004年の年の瀬に10年間の沈黙の封印が遂に解かれた。そして「VIP-ISO」は10年間の進化を凝縮して、ダイワ精工の最高峰の竿として再び釣り人の前に現れた。

初代VIPから受け継いだフォルムを忠実に守り、さらに素材や仕上げのクオリティーを高めた、その姿には10年間の沈黙を感じさせない堂々たる風格がある竿に仕上がっている。
まさに技術の結晶とも言える最先端機能を惜しみなく投入した感のあるその仕上がり具合は所持することの優越感や満足感を大いにくすぐる。
 
 

ダイワ製品の最高峰を使わぬ訳にはいかない・・・妙な使命感に駆られて早速、VIP-ISO TypeVを磯へ持ち込んだ。実釣テストに選んだのは「神津島 恩馳群島」竿の性能を思いっきり引き出すには文句のつけようのない舞台です。神津島では計3回、VIP-ISOを使って釣りを行ってみた。道糸は3号〜4号;ハリスは同じく3号〜5号でテストする。

初めてこの竿を振ると「ブレ」の少なさを実感できる。特に振り込む時の「ブレ」は著しく少ない。また、竿のコンセプトにあるように「強靭な腰」を持つ竿でありがちな棒切れのようなガチガチ感は思いのほか少なく、逆に「本当に胴が強いの?」と思わせるほど3番〜4番の動きは思いのほかしなやかで良く動く感じがある。

 

私が、このVIPで初めてかけた魚は外道の代名詞「イスズミ」であった。メジナを最初にかけていればドラマチックであるが、そんなに世の中ドラマチックに行かない。しかしこの最初のイスズミは、約40aくらいの中型サイズであったのだが、この魚をかけたときの竿の曲がりは、これまでダイワの竿にありがちであった「無駄な竿曲がり」感はまったくなく、必要なだけ竿が曲がるという印象であった。

このサイズの魚であればVIP TypeVは、恐ろしく曲がらない。「竿の3番までで意図も簡単にあしらえてしまう」こう表現しても過言でないほどのパワーである。 竿を起こし溜めているだけでうそのように簡単に魚が浮いてくる、胴の部分の反発力はスピーディーで力強い。それだけのパワーを持ちながらも「パキンパキン」感はほとんどない。矛盾した話であるが竿の全部の節が綺麗に曲がるようなイメージが湧いてくる・・全身が柔軟性豊かな筋肉の塊で力強さの中に応用力豊かな柔軟性を持っているイメージだ。


上の写真は、2005年5月に釣友がVIP-ISO TypeUで59.3aの尾長グレをかけたときの物であるがVIP-ISOは、このクラスの魚がかかって初めて胴の部分の本当の能力が発揮される竿である。このやり取りの一部始終を写真に収めたが、悲鳴をあげるはずの竿は、計算された3D映像で描いた弧のような美しく曲がりを見せていた。極限まで絞り込んだ竿は釣り人の意思どおりに反発力を発揮し思いのほか簡単にこの一生ものサイズを浮かせた。
ダイワ精工のホームページやカタログ、または雑誌などのVIPの触れ込みは、過大評価のように思えるような表現だと思っていたが、まったく持ってあの表現の通りであり、VIP-ISOは、タイプUでさえ、大型尾長と堂々と渡り合えるポテンシャルを確かに持っていた。
 
 

竿の性能については申し分ないということは上記で書き記したが、あえて何か付け加えるのであれば「重量」である。いまどきの竿(特にダイワの制覇など)に比べると、この竿は重い。スクリューシートの宿命かもしれないが、ダイコーやがまかつのトップグレードの竿と比較すると数値が示すとおり確かに重い。この重さと強いのに動きの良い3番〜4番が妙な癖を生み、先調子のダイコー(ロイヤルリミテッドプロ)やがまかつ(スーパーインテッサGV)などに比べると竿の操作性におけるシャープさに欠ける感がある。これはあくまでも竿の調子の好き嫌いの問題なので性能とはまったく関係のないものであるが、印象というメンタルな面でのウィークポイントとなることもあるだろう。

最後に、唯一ケチを付けるのであれば、私の竿にトラブルが発生したことである。2回目に神津島で使用したあとに竿の先端の部分が髪の毛ほどの細さでささくれるという事が起きた。竿先に印刷?されているガイドラインにそって綺麗に塗装が剥離したのである、穂先を絡めたまま糸を巻いた覚えもなければ、この竿を使う釣り人がそんな初歩的なミスを行うわけがない。しかしクレーム修理に出したダイワの対応は「穂先に強い負荷がかかった」と言う事であった。強い負荷とは、ようは穂先だけバカみたいに曲げたという事である。

もちろんそんなことはする訳がない、百歩譲って仮に多少負荷がかかったとしても、宣伝で詠っている「超フレックス穂先」の映像は何なのだろう?

右の写真のようなことを、購入した人は絶対にしません・・万が一何かのトラブルでそうなったとしても、ここまでの対応力があるからこんな写真を出しているはずでは?ダイワのアフターサービスの言う「強烈な負荷がかかった」とは・・・一体どんな状態を示すのであろうか?VIPオーナーなどと言いながら、何一つ代わり映えしない対応にひどく寂しい気分にさせられた出来事であった。

また、上記の出来事に拍車をかけるような文章になってしまうかもしれないが、この竿の塗装は非常に素晴らしい・・・・・しかし、恐ろしく弱い。磯にそっと立てかけただけでも驚くほどの傷がつく。以前、VSトーナメントという竿も使っていて塗装が弱いと感じたこともあったが、塗装自体が黒なのでVSトーナメントの比でないほど傷が目立つ。磯に立てかけた竿が風にあおられて少しでも擦れ付けられようものなら、致命的な傷がつく。磯へ持ち込むときは、波がなくとも竿のためにチャランボを立てかける事をお奨めする。塗装の貧弱さだけで言うならば、いくらアフターパーツを10年間作りつづけてもこの竿の塗装は1年しか持たない・・・ここまで言っても過言ではないと私は感じた。

VIPオーナーなどと言っても何ら変わらぬアフターサービスの対応と塗装の弱さを抜いて考えれば竿としての性能は申し分ないレベルであり、この竿で魚をかけると独特の安心感を覚える印象もある。私は、「10年使える竿」としてまずタイプVを購入し、タイプWを除くすべてのシリーズの購入を考えていたが、塗装の面とアフターの対応で購入は取りやめた。しかし、ここ一番の釣り場で大物と思いっきり安心してやり合える竿としては購入する価値は大いにある竿であることは間違いない。

            次回は・・・ダイコースーパーロイヤルリミテッドを本音で検証します。